「訓練士の言うことはきくけれど、飼い主の言うことはきいてくれない。」と聞いたことがある方は多いと思います。私自身、訓練所に勤めていて、この事実を何度目の当たりにしたことか。
そもそも、訓練所を辞めてシドニーに渡った大きな原因は、私を信じて訓練所に犬を預けてくれた友人の愛犬、ワイヤーフォックステリアのディディエにあります。
何ヶ月も通い大金を支払い、訓練所を優秀な成績で卒業した彼ですが、果たして友人宅で私が見たのは、お座りしない、フセなんかますますしない、部屋をかけずり回り、ピンポンの音で吠えまくるディディエの姿でした。?彼のその後についてはもう少し後で詳しくお話するとしましょう。
そんな日本の訓練事情に疑問を感じ、シドニーに渡り行動学を知り、現在ビヘイビアリスト(犬の家庭教師)という仕事を立ち上げて実感することは、「 『 しつけ 』と『 訓練 』は全く別のもので、違う対処の仕方が必要である」ということです。
まず「訓練」とは、人が出す指示に従って「座る」「伏せる」「横について歩く」「待つ」などを教えることを意味します。
しつけとは、飼い主の言うことをきかなくてはならない、自分の思い通りにはならないからといって噛みついてはいけない、ムダに吠えてはいけない、排便はトイレですること、などを犬に教えることを意味します。
訓練では「どうすれば良いか」を覚えますが、「誰の言うことをきくか」は犬が判断します。飼い主がしっかりとリーダーシップを獲得しなければ、言うことをきいてもらえないという事が起きるのです。力で押さえつけるのではなく、犬が本能的に理解する方法で犬のリーダーになることが必要なのです。
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