99/09/29-30

99/9/29
今日はショッキングな日でした。まず6階に上がると、生徒は私を含めて3人しかいません。犬は、コバヤシ、ボス、ブルーノです。授業の回数を30回以上こなしている、手の合う3人ということで選ばれたようです。

今日は、声符は全く使いません。

姿勢と気迫で厳しさを出します。するとなんと不思議!?あんなに大変だったのに、いとも簡単に犬にバーを飛ばせることができます。「前へ」の指符も、それほど力強く入れる必要はありません。「ツケ」も左腿を軽く叩くだけでOKです。一つ一つの指示が出されるたびに、訓練士と犬とがお互いのスキの取り合いです。犬は、匂いを嗅いでみたり、すんなり座らなかったりで、訓練士を読もうとしています。負けてはいけません。同じ事をくり返して犬のペースに持っていかれたら負けです。座りが悪かったら、ゆっくりと一歩前へ出ます。このとき、犬が座りそうなのにそれを見逃して前へ出すぎると、かえって犬がブレてしまいます。前へ出て、犬が反応してすぐに座ったら、すんなりと引き返します。そのまま待ったりしてしまうと、犬にプレッシャーをかけてしまい「座ったのにどうして?」と混乱させてしまいます。

犬が思い通りにならなかったら、チャンスだと思って、ちいさなスキをつぶしていきます。小さな事でも、一度見逃してしまうと、次からどんどんつけあがり、犬が乱れていきます。充分気をつけましょう。犬に絶対に負けないぞ!という気合いが必要です。

座りが悪い場合「前へ」でそのまま自分も前に出て、バーの前に立ちます。匂いを嗅ぐのも許してはいけません。よそ見も見逃してはいけません。座らずに、左右へ流れるときは、流れた方へ出て、そっちは危ないと教えます。「ツケ」で付かなかったら、後ろをとりに行きます。後ろを取るときは、犬に向かって左側(犬の右側)にゆっくりと足を出します。「言うことをきかなかったら、この足が後ろをとりますよ」の気持ちを込めて。犬が流れた方へ前に出ていった後は、そちらの方へ少し踏み込むだけで、犬に伝わります。脚側に付かせる場合、犬を右から送るときは、首を動かす程度に。大切なのは、気持ちを入れることです。


99/09/30

今日も飛越でした。まず6階で全員(?)集合です。横に並んで6頭で引きます。コバヤシとボス、ゴールデンを引きました。コバヤシは落ちつきがなく、どうしても右が気になり、右へ流れます。座りも悪いです。脚側に付いても、右へよそ見をします。これを許してしまうと、飛んでからも犬がブレます。ボスも座りが悪いし、付かないし、大変でした。ツキが悪いとき、座りが悪いとき、同じように犬の後ろをとります。この時は、正面に向かって踏み込むのではなく、向かって左へ(犬の右へ)足を出します。体重をかけてゆっくりと前に重心を移します。このとき、犬が付こうとしたら(犬の動きを良く感じ取りましょう)身体を引いてあげます。威圧するだけだと、脚側に付きたくても、犬がつけません。押して引いて上げるつもりで。押しっぱなしだと、犬も止まってしまいます。プレッシャーをかけすぎたら、怖くて付けません。気をつけましょう。

犬が他の犬と遊んだら後ろをとって、その行為がイケナイことなのだということを教えます。脚側につかせるのが目的ではありません。スキを見つけて、教えていきます。

(今日のコバヤシの場合)何度か同じパターンで座らなかったり付かなかったりが続いてしまったとき、座ろうが座るまいが、後ろをとって叱ります。バーの向こうにいる

ときでも、後ろをとります。犬に「この人は、バーを越えては来ないだろう」と思わせないように。ツケで脚側に付くときに、一度の「ツケ」で来なかったり、気が散っているようだったりした場合、後ろを取りますが、手を使うよりも、足で後ろを取ったほうが効果的です。足はいろいろなメッセージを犬に伝えることができます。後ろの方向へ右足を出しぐっと力を入れるだけでも効果があります。犬との会話が大切です。犬の少しの動きをも感じとりましょう。

ゴールデンを引きました。「大変ですよ」の田村先生の言葉通り、大変でした。なかなか飛ばないので、一歩一歩と前に出ます。飛ばずに振り返って、戻ってきて、私の後ろを回って脚側に付こうとしたときがありましたが、この時こそ、左足を引いて前に飛ばせるチャンスでした。チャンスは一度しかやってきません。しかも最初のチャンスが一番有効で、それを押さえられるか否かで、訓練士のレベルが決まると言っても過言ではないかもしれません。

左足を引くときは、かかとは床につけたまま、「ズッ」と言う感じで重たく引きます。犬のスキを見つけて、絶妙なタイミングで犬を切り替えなくてはなりません。
ゴールデンはなかなか、バーを越えて脚側に付いてくれません。後ろをとりにいきましたが、かえって犬がブレます。また「ツケ」で一歩前に出ますが、犬が付こうとするタイミングと押すと引くのタイミングが合いません。また、こちらの作戦のパターンが完全に読まれています。「なんだ、こんなものか」と。見ている人たち(先生)が私の次の手を読めてしまうくらいなので、犬は当然読んでいます。手を犬に読まれないように、犬の不意をついて手を入れてチェックしていくことが大切です。指符を入れると、弱気になっていると犬が感じとり、優位にたとうとしますので注意が必要です。一つ一つの手を入れるときは、ムダなく慎重に、その意味、効力を充分考えて。

「ツケ」で付かなかったら、すぐ前へ出てポンと一発叩きます。100回来なかったら100回でも前へ出てやるぞ!という気持ちと気迫で構えます。矢野さんがブルーノを引いていたとき、ブルーノに手を完全に読まれていました。1回目の「ツケ」では付かず、2回目の「ツケ」も動かず、3回目に前に出たときにやっと動き出します。そのパターンができあがってしまっていたので、3回目で矢野さんが前に出るたびに動き出す、という形になってしまっていました。

犬を叩くときは、一発入魂しましょう。強くて重い一発が決まれば、その後、その手の威力がUPします。この手は、恐いのだと犬に教えることができます。逆に、中途半端な手を入れてしまうと、威力は落ちてしまいます。

指符で自分の足を叩く時もっと良い音を出したいです。

ラストは6Fで長い距離で、ブルーノを引きました。とても良く引けたので、途中で犬を替えられました。チェリーを引くことになりましたが、これがまたわりあいと良く引くことができました。田村先生に「(チェリーを)これくらい引ければ、たいしたものですよ」と言われて、とても嬉しいです。次に根井さんがチェリーを引いていましたが、手がきつすぎて、恐がらせてしまったようです。チェリーはまだ子供なので、上手く切り替えながら浮かせないように、的確なチェックを入れて上げることが大切です。