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どこから子犬を迎えるか

「犬を飼おう!」となったとき、まず、どうやって子犬を手に入れるか、ということになるかと思いますが、実はこれは大変深刻な問題です。

 どんな子犬を迎えるかで、それからの人生、犬生、劇的に異なるものになります。健やかな環境で、精神的にも肉体的にも健康な子犬を迎えることができるか、劣悪な環境で生まれ、親から早く引き離され競市からダンボールに入れられ、輸送されて店舗に卸され、ガラスケースひとりぼっちで入れられるという異常な環境を通過する子犬を迎えてしまうか、迎えてからのつきあいやすさが大きく異なる場合があることを、16年間、2060頭以上の犬たちと向き合ってきて、実感させられました。

子犬を迎える方法は、大きく分けて3つあります。今、中西が考えるオススメの順番にあげていきます。


優良ブリーダーから迎える


最初に出会った犬・シェットランドシープドッグ

 子供のころはシェットランドシープドッグを二代に渡り飼っていました。といっても世話をしていたのは母で、小学生〜大学生の時期を一緒に過ごすことになった私は、愛犬との時間よりも、友人たちとの時間を過ごすことで忙しくしていました。なので、あまり思い出がないのですが、最初の犬、ハッピーは亡くなる日、私を待っていてくれたことを鮮明に覚えています。大学生になっていた私は、その日はたまたま午後の講義が休講になり、ハッピーの具合があまりよくないと聞いていたこともあり、実家に帰ることにしたのです。その日、ハッピーは亡くなりました。さみしくなってしまった家族は、またシェットランドシープドッグを迎えることに皆同意しました。二代目はロッキーと名付けました。どちらもとても良い性質の犬でした。今でも母と妹と話すのですが、「しつけ」らしいしつけはした覚えがありません。なのに、とても良い子になったし、良い関係だったと思います。よく吠えましたが、近所のみなさんもとてもかわいがってくれて、我が家にならってシェットランドシープドッグ仲間が増えていきました。

ミニチュアシュナウザーに惚れ込むブリーダーに惚れ込む

 それから10年くらいして経済的にも安定してきたころ、OLをやめショットバーを経営することになり、昼間の時間が自由に使えるようになったこともあり、犬を迎えることにしました。大好きだったシェトランドシープドッグを!とも思ったのですが、よく吠えていたことを思い出し悩んでいたところ、店のお客様が飼っているミニチュアシュナウザーは吠えない、というので会いにいきました。今考えると、ミニチュアシュナウザーはどちらかというと吠える方がと思うのですが、ビックリ!昼間遊びにいき、ごはんを食べ、お酒を飲み、深夜帰宅するまで、彼女の犬は本当に一回も吠えなかったのです。

 その子の魅力と、飼い主さんの溺愛ぶりにすっかり魅了され、彼女が購入したというブリーダー氏を紹介していただくことになりました。そのブリーダーさんは、自分が気に入らない人には譲らない!という筋金入りでしたが、幸い、譲っていただくことができ、彼が作るシュナウザーに惚れ込み、実家の母、妹と合わせて、今までに6頭迎えてきました。

フーラの出産

 そのうちの1頭が我が家に迎えたフーラ♀です。子犬を産んでもらい、母犬としての子犬育てを学ばせてもらいたい、という強い希望もあって迎えました。幸い、体の問題もなく、ブリーダーのところにいる種オス(といっても、劣悪な繁殖場にいる犬とはまったく違う扱いをされています。交配もしますが、愛犬としても愛され、かわいがられ、ブリーダー氏とともに暮らしている犬、我が家のアトラスのお父さんです)と、ブリーダー氏の指導の元、ブリーダーとしてもやっていく覚悟で交配しました。フーラは5頭の子犬を産んでくれて、今年11年目になりますが、みんな病気一つせず、愛され、元気で暮らしています。その中の一頭が、我が家に残ったアトラス♂です。

 結局、一度はブリーディングもしていこう!と思ったのですが、いろいろ考えて、自分はブリーダーになれる気質ではないことを自覚しあきらめました。しかし、犬たちがどう育っていくのか、リアルに観察することができました。生まれた子犬のうちの1頭は、アトラスで、今でも一緒に暮らしている、私の家族です。もちろん、母犬も元気です。産ませたことがあるので、優良ブリーダーの気持ちが少しだけ理解できます。どの子も、一番幸せにしてくれる家庭へお渡ししたい、というのが親心です。

子犬はみな一緒じゃない!

 先日、数年ぶりにブリーダー氏をたずねたのですが、そこには一頭、子犬がいました。仕事がらたくさんの子犬に会ってきましたが、今回久しぶりに「良い子犬」を見た、という感覚を鮮明に感じました。具体的に「何が」というのは言えないのですが、何かが違いました。まだ3ヶ月だというのに、キラキラした魅力的な瞳の中に、犬としての知性といいますか、言葉であわらせない、異常に惹きつけられるものを感じました。「これだ!」私は、かつて、このブリーダー氏に惚れ込んだ気持ちが、久ぶりに新鮮に蘇ってきました。

 「子犬はみな一緒じゃない!」こんなにも違うんだ!ショックと喜びで、なんとも言えない気分でした。誰でもが手にできるものではないと思いますが、本当にすばらしいブリーダーが作る子犬の価値は、そんじょそこらの感覚で判断、測れるものではない、と実感しました。

 これから子犬を迎えたいと思っている方は、ぜひ選択肢として考えて欲しいです。優良なブリーダーは、会ってみてその人間性や、環境、親犬たちの様子、兄弟たちの様子など、よく観察した上で、じっくり選んでみるのはいかがでしょう?

優良ブリーダーを探すには

 これがなかなか難しいというのが現状のようです。中西の場合は、たまたまよいブリーダーを紹介してもらえる機会があったのですが、ほとんどの方はどうやって探していいのか、悩まれるようです。一番いいのは、惚れた犬種を買っている人に聞いて見ることです。ペットショップで買った場合には、残念ですが、同じところで買っても、その子に似ている子に当たることはありません。

 ブリーダーから迎えた子である場合には、そのブリーダーさんを紹介してもらうのが一番です。その他は、ウェブサイトで探すこともできますが、見た目は優良そうでも、そうではなかったというケースも少なくなく、何事もそうかと思いますが、ネットの情報には慎重に向き合う姿勢が必要です。
 中西が「中西がゆく!」で連載させていただいている雑誌「愛犬の友」には、ブリーダーを探せるオンラインサービスがあります。参考までに。

愛犬の友オンライン
※ブリーダーが探せる『ブリーダーサイト』があります。

優良ブリーダーの見分け方は

・扱っている犬種は1種
・父親、母親、もしくはどちらかに、可能ならば会わせてもらうことができる。どんなところで生まれて育ったのか、環境をみせてもらうことができる。
・ブリーダーの人柄
・絶対に、会いに行かないと譲ってくれない
・3ヶ月過ぎていないと譲ってくれない(飼い主側の経験などによって異なります)

 といったところでしょうか。とにかく、ブリーダーさんに会い、犬たちに会い、実際に触れ合って、子犬を選ぶ、ブリーダーにも、飼い主として自分を見てもらうことが大切だと、中西は思います。そこから10年以上のつきあいになる覚悟が必要ですので、友好な関係が作れるのか否かは重要です。

 犬を「買う」側が、ブリーダーに高い質を求めることは、殺処分の対象になる犬を減らすことにもつながります。質の高いブリーダーからしか子犬が売れなくなり、劣悪な環境で繁殖し、大手ペットショップに流通させているところがつぶれていくためには、買い手の質が上がることで質の高いブリーダーを守ることも必要になってきます。質の高いブリーダー以外は廃業しなければならななる環境を作っていくためには、

・”劣悪な繁殖場から流通する” ペットショップで、買わないこと
・優良ブリーダーから買うことで、大量生産・大量流通・大量販売の流れを止めること

が必要です。


保護犬を迎える


保護犬とは

 我が家のエリオス、クロノスは、保護団体さんから迎えた犬たちです。幸い、早い時期に迎えることができたため、全盲、片目失明ですが、なんの問題もなく一緒に暮らすことができています。

 保護犬とは、以下のような状況の犬たちを引き取ってきてくださった保護団体、保護活動をしている個人の方のところで、新しい飼い主さんを探している犬たちのことです。

1)繁殖場崩壊などで飼育不可能になった、子犬たち、※種オス、台メス。

2)まだ繁殖は続けているけれど、体調などの状態が悪かったり、もう産めないと判断されたりした犬。

3)飼い主の事情で、飼い主の事情で飼えなくなり、保健所、愛護センターに持ち込まれた犬。(迷子も含む)

4)野犬

 ※種オス:メスと交配して子犬を生ませるために去勢していないオス
 ※台メス:オスと交配して子犬を生むために避妊をしていないメス

種オス、台メス

 これらの犬たちは、子犬を生ませるためだけに飼育されているケースが多く、一生ケージの中で過ごす犬も少なくありません。怪我や病気をしていても治療をしてもらえず、痛みや苦しみに耐えて一生を終える犬もたくさんいます。こうした犬たちから生まれた子犬たちは、競市にかけられ、ペットショップのバイヤーに競り落とされ、ガラスケースの中などに展示されて、販売されます。
 子犬が売れたら、在庫補充のために、また、こうした種オスや台メスが子犬を生まされることになります。

保護犬を迎えるには

 保護団体さんや、個人で保護活動をしている方を探して、譲渡してもらえる犬がいるかどうか、まず知ることが必要です。多くの団体さん、保護活動をしている方は、インターネットを利用しています。ウェブサイトやSNSで探して、保護犬一覧などを見て、ご縁を探しましょう。

 保護犬一覧に載っている犬たちは、譲渡についての条件などが書いてあります。(書いてないところもあるかと思いますが、書いてあるところの方が良心的と言えるでしょう)条件を満たしていると思ったら、申し込みフォームなど、その保護団体さんのシステムに従って連絡をします。

 保護団体さんが、譲渡先としてふさわしいと判断した場合には、まずはお見合いといって、その犬と面接をすることになります。先住犬がいる場合には、連れて行って相性を見ることも大切です。ただ、初対面で相性が合わなくても、だんだん慣れていくことが可能な場合もありますので、団体の方とよく相談してください。

 お見合いが問題なければ、家に連れてきてもらい、トライアルという期間が始まります。(個人で活動している方の場合には、この期間がない場合もありますが、とても大切な期間だと中西は考えています)トライアルは2週間のところが多いようです。2週間あれば、迎えた犬がどんな犬なのか、先住犬との相性はどうか、家や環境に馴染めるかなどがわかると思います。

 2週間、問題がなければ、正式譲渡となり、書類を交わし、寄付金など、活動に対しての感謝、激励などの意味を込めて、お支払いするのが通常です。金額は、規定されている場合が多く、活動資金に充てられます。さらに、活動に対する感謝、サポートの気持ちを乗せて多めにお支払いする方も、少なくないようです。

 譲渡条件は、厳しいところも少なくないようですが、犬たちを幸せにしてやりたいという、団体の方々、個人の方々の気持ちということで、理解をすべきかと中西は考えています。
 決して、助けてあげるのだから、という驕った気持ちは禁物です。自分より幸せにしてくれる人がいるのではないか、という謙虚な気持ちで向き合えば、必ずご縁があると、信じています。

 少々ハードルが高く感じられるかもしれませんが、諦めずにチャレンジすることも大切です。


個人宅で生まれた犬を迎える


 2000件以上、お客様のレッスンをしてきて、知人のところで生まれた子を譲ってもらった、というケースもありました。(バックヤードブリーダーと言われる方とは区別して考えてください)商売としてではなく、ただその犬種が好きで、自分の犬たちの子供が欲しい(この件に関しては中西個人としてはあまり賛成できませんが)という方も少なくなく、素人として繁殖される方もいます。ただ、血筋によっては重篤な病気が出てしまい、兄弟が次々に亡くなってしまうということもあるようで、やはりたくさん勉強して、経験を積んだプロが、絶対に病気は出さないという覚悟のもと、携わるべきことかと、自分が産ませてみて実感しました。

 自家繁殖の結果、奇形児として生まれたケースもありました。幸い、大切に育てて、家族として愛されていましたが、本犬も辛いことがあるでしょうし、できれば避けたいことかと思います。


ペットショップで買う


 最後の手段は、ペットショップで買うことです。個人宅の方がランク上なのは、少なくとも自分たちの希望で産ませた場合には、父親も母親も愛されて飼育されていますし、ケージに入れっぱなしになることもなく、産めなくなったら処分される、という悲劇は起きませんが、ペットショップの場合は違います。

 もちろん、すべてのペットショップがそうである!という話ではありませんが、大手のペットショップにおいては、命の大量生産、大量流通、大量販売という、先進国としては非常に残念な構造があります。「劣悪繁殖場」「繁殖場崩壊」などのキーワードでネットで探してみると、悲惨な現状を目にすることができます。本当に悲惨なケースもありますので、閲覧にはご注意ください。

 日本には動物愛護法というものがありますが、ほぼあいまいな表現ばかりで、現状を改善するための数値規制がありません。法律は5年ごとに改正されますが、苦しんでいる犬たちを助けることよりも、流通によって動くお金の問題から、今の環境を改善することが難しい、というのが現状です。

 前回の民主党政権だったときに通ったかと思われた法案も、〜読み替え〜という不思議なワザ?で、曖昧なものにされ、立ち消えさせられてしまう可能性もあります。なぜ、弱気小さなものたちの犠牲をなくすことができないのか、日本という国、政治に対する残念感はいっぱいです。

 ペットショップで買うと、ガラスケースが空きます。そこへ子犬が補充されます。ガラスケース1個につき、子犬の値段が売り上げになります。子犬が補充されると、繁殖場では生ませることになります。ペットショップで犬を買う人がいる限り、ケージから一生出られず、劣悪な環境で犬生を終わる犬たちを減らすことはできません。

 しつこいようですが、すべてのペットショップがそうである、という話ではありません。


その他


 レッスンでいろんなお宅へうかがっていて実際にあったのは、身近な人から引き取る、というケースです。

・娘が飼えなくなったので引き取った
・親が飼えなくなったので引き取った
・知人が飼えなくなったので引き取った

 つまり、誰かが飼えなくなったので引き取る、というパターンです。少なくとも、保健所や愛護センターに持ち込まれなかったことが幸いかと思います。事情はいろいろあれ、飼えなくなった場合、その子にとって一番良い方法はなにか、必死で考えて、尽力して欲しいと思います。

 命を預かる、ということはそれほど重いことで、それなりの覚悟が必要です。
それをしっかりと理解するのが、人としてやるべきことなのではないでしょうか。

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