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おかしな『犬のしつけ』???

犬のしつけの常識と言われているものには、冷静に、客観的に考えてみると???と思えるようなものがたくさんあります。

レッスンでお客様先へうかがって、

「本に〜〜〜と書いてあったので」とか、
「ネットで調べたらこう書いてあった」とか、
「ペットショップの店員さんに・・」「獣医さんに・・」とか、

そんなふうに言われることが多々あるのですが、

「それって本当にそうだと思いますか?」

と聞くと、

「ヘンですよねぇ」

っていうことが多いのです。
そんな「おかしな」犬のしつけの常識について、中西の考えを書きます。

もくじ

1.子犬を迎えたら、ケージから出してはいけない
2.犬にアイコンタクトをさせなくてはならない
3.犬をソファに乗せてはいけない
4.犬と一緒に寝てはいけない
5.引っ張りっこは必ず飼い主が勝たなければいけない
6.仰向けにして押さえつければ、犬は飼い主を上だと思う
7.犬の好きなように歩かせてはいけない
8.犬より先に飼い主が食事をしなければならない
9.人の食べ物を犬にあげてはいけない
10.犬を人に飛びつかせてはいけない
11.犬の要求に応えると、飼い主を下だと思うようになる
12.犬は飼い主の横にピタリとついて歩かなければならない
13.リーダー(飼い主)がテリトリーを支配しなければならない
14.犬が邪魔な場所にいたら、どかさなければならない
15.甘噛みはやめさせなければならない

to be continue

おかしなしつけ 1.

×子犬を迎えたら、ケージから出してはいけない

◎子犬にはスキンシップが必要です

・2ヶ月間ケージから出してはいけない!?

FBで、ケージが入っていたと思われるダンボール箱に「2ヶ月間この中から出さないでください」と印字されていてビックリした!という、ドッグトレーナーさんの投稿がありました。つまり、子犬を2ヶ月間はケージから出してはいけない、ということのようです。とてもビックリしました。

・幼いころ親と放されてしまう子犬たち

今の日本の動物に関する法律では、子犬をたったの49日で親から放して販売してよい、ということになっています。改正されることを強く望んでいるのですが、何かの力が働いていて、改正が思うように進みません。

それでも、法律がちゃんと守られているか、取り締まることはされていないので、ペットショップのガラスケースには、中に入っている子犬の年齢の表示に「40日」、とか、「43日」とか、書いてあったりします。

・かわいそうで、ガラスケースにひとりぼっちになんかできない!

その姿を見て「かわいい!」と言っている人を見かけますが、どうか聞き間違いであって欲しいと願ってしまいます。私は、この仕事をするにあたり、母犬の子犬育てを観察したく、ブリーダーになる覚悟もして繁殖をしたことがあります。あいにくブリーダーには向いていないことを知ることになり、そちらは断念しましたが、40日、43日の子犬には、まだまだ母犬や兄弟のそばにいることが必要です。あんなに幼気な子犬を、たったひとりぼっちでガラスケースに入れられる神経は、私には理解できません。「かわいい」ではなく、なぜ「かわいそう」という感情が育まれてないのか、非常に残念に思います。

北欧から来たある有名なドッグトレーナーは、ガラスケースに入れられている、小さすぎる子犬を見て、涙ぐんでいたそうです。

・育まれる「ベーシックトラスト」基本的信頼

ハーローの、アカゲザルの実験というものがあります。どのような実験かということ、アカゲザルの子猿を、ミルクを飲むことができる、針金でできている代理母人形と、やわらかい布で覆ってある代理母人形がある箱に入れます。子猿がどちらを選ぶが実験したところ、子猿は、ミルクを飲むときは針金の代理母人形のところへ行きますが、それ以外は、やわらかい布で覆ってある代理母にしがみついていたそうです。

また、針金の代理母人形に入れられた子猿と、やわらかい布で覆われた代理母人形に入れられた子猿に、ガチャガチャ音がでるおもちゃを見せたところ、最初はどちらも怖がりましたが、やわらかい布で覆われた代理母人形と一緒にいた子猿は、だんだん慣れてきて、怖がらなくなりました。それに対し、針金の代理母人形と一緒にした子猿は、いつまでも怖がりました。

この実験から、動物の子供が健全に成長するためには、あたたかいぬくもりが必要であるということがわかりました。自分は守られている、安心できるという基本的信頼「ベーシックトラスト」を築くためには、生まれてからしばらくは、快適な接触が必要なのです。しかし現状はどうでしょう。

まだまだ幼い年齢で親、兄弟から引き離される子犬たち。もちろん、なんの問題もなく成長する犬もいると思いますが、なんらかの行動問題が出現するだろうということは、2000件以上のお宅へうかがって実感しています。データは取っていませんが、現場の勘のとでもいいますか。優良ブリーダーから迎えた子犬たちの気質は安定していて、つきあいやすいことが多いと感じています。

・大切なスキンシップ

親、兄弟から放れて、ひとりぼっちで新しい環境に連れてこられた子犬は、不安でいっぱいです。緊張もしています。そのため免疫力が落ちていて、場合によっては生命に関わるほどのダメージを受けてしまうこともあるそうです。

注意したいケースは、迎える側の家族に、コントロール不能の幼いお子さんがいて、まだまだたくさん寝かせなければならないのに、頻繁にケージから出して遊んで、疲れさせすぎてしまうような場合です。また、小さなお子さんが子犬を抱っこしたがることはよくあるのですが、お子さんの体がまだ小さい場合には、抱いている状態が不安定になり、かえって子犬を不安にしてしまうことがあるので要注意です。落としてしまい、骨折させてしまったということも起きていますので、最新の注意が必要です。

迎えたばかりの子犬は、たくさん寝かせて、たくさん食べて、ちゃんと出してもらうことが非常に大切です。そのためには、ケージに入れておく時間も必要です。しかし、出してはいけない、というのは、飼い主さんの愛情や、ぬくもりを伝えることができず、不安な状態のままでいることになります。

話しかけて声を覚えてもらったり、触れ合ってこちらがどういう人なのか、どれほど愛情を持って迎えたのか、伝えることも必要です。

☆子犬とのつきあい方
puppy’s law

・ケージから出すのは1回30〜40分くらい。
・ケージに戻したら、最低3時間は寝かせる
・放って置かずに、必ず100%向き合って、コミュニケーションする。
・6ヶ月くらいまでは叱らない
・触る力は強すぎないように
・からだのいろんなところを優しく触る
・子犬の心の準備ができるまでは「オスワリ」や「マテ」など教える必要はない
・いつも笑顔で接する
・必要なことは教える(※教えておくと便利なルール参照)

おかしなしつけ 2.
×犬にアイコンタクトをさせなくてはならない

◎必要があれば目は合います

・アイコンタクトをしないのは飼い主をバカにしている!?

そもそも、アイコンタクト、目が合うことを、そんなにシンプルに考えるべきではないと、中西は思っています。動物同士のアイコンタクトは、それはそれは深い意味を持っているのではないかと想像します。人間同士のアイコンタクトだって、いろんな意味があると思います。目つきや長さ、タイミング、角度、他のボディランゲージ等、非言語的な部分と合わせて、たくさんの要素でメッセージができあがっていると思うのです。

ですので、ただ「見た」「見ない」「そらした」などとシンプルに考えるのはおかしくないでしょうか?アイコンタクトすると、オキシトシンという幸せホルモンが出る、ということが科学的に証明されました。大変嬉しいことですが、もちろんそうでしょうね、という気もします。ただ、私の場合、愛犬とのアイコンタクトにはいろんな意味を感じていて、例えば、そろそろお手入れをしようかな、と思って目が合うと、逃げるやつもいます(笑)

・目をそらすと服従している!?

犬と目があったとき、そらしたらそれは服従している、という説もありますが、それにも違和感を感じています。我が愛犬、ロックは、よく私を目を合わせてくれました。私のことがとても好きだと伝わってきたし、初めて飼った犬でしたから、私も特別な思いがありました。しばらくして迎えたコタローは、意図的に目を合わせるとそらしました。でも、それは服従というよりは、不快だから、というか、めんどうくさいというか、そんな雰囲気がありました。もちろん、コタローとも良い関係でしたので、嫌われているから、などということはなかった、と思います(笑)マイペースで天使という表現が似合う犬でした。

我が家で生まれたアトラスにとって、最初に刷り込まれた人間である自分とは、やはり特別な絆で結ばれているように感じます。彼とのアイコンタクトは、ロックのそれともまた違う感じです。全面的な信頼からくる、アトラスの「甘え」というか、私に対して自分を素直に表現し、自信をもってアピールしてくる感じが、なんとも愛おしく感じることが多いです。

・目が合うのはリーダーだと認めているから!?

お客様先で出会う犬たちで、知らない人が家に入ってくることに恐怖を感じる犬は少なくありません。仕事柄、歓迎してくれる犬たちに合うことが極めて少ないことも事実ですが。そういう犬たちは、必死に私と距離を取りながら、すごい形相で吠えかかってきます。その目はしっかりと私を見ています。知らない人が怖いから、その動きを見ている必要があるからです。もちろん、リーダーだなんて思っていません。怖いから監視しているのです。

そういう犬たちのレッスンでは、私はなるべく彼らと目を合わせないようにします。目が合ったとたんに、恐怖で激しく吠え出すことが少なくないからです。こちらとしては、なんとか安心してもらおう、あわよくばなついてもらおうと思っていますので、目を合わせないように必死です。まるでこの家には犬なんかいません、というくらいの態度でいると、だんだん近づいてきてくれて、手からおやつを食べてからは友達になった、というケースも少なくありません。

ドッグトレーナーになりたてのころは、一生懸命、目が合うようにおやつなどを使ってやっていましたが、今考えると、必要なことだったのか疑問です。アイコンタクトは、もっと自然にするものなのではないかと思っています。目を合わせないことも受け入れて、目を合わせてくれることも受け入れて、その子、その子に合わせた、相互作用で関係を作っていくのが理想なのではないかと思います。トレーニングされて覚えたアイコンタクトができる子は、彼らが伝えたい本当のメッセージがわかりにくくなってしまっている、という印象があります。

訓練所にいたころを思い出すと、緊迫しすぎる訓練の場合、犬たちは必死で目をそらして、力が入りすぎている私たちをなだめてくれていたように思います。体に力が入りすぎていると、指の動き数センチの差、コンマ何秒のタイミングを、思うようにコントロールできなくなってしまいます。少しでも良い空気感にするために、犬たちは目をそらしてくれていたんだと、今となってわかりました。「もっと力を抜けよ」それが動物同士としての、彼らから私へのメッセージだったように思います。

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