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わがままな犬?

うちの犬はわがままで・・・

 謙遜なのか、本気でそう思っているのか、愛犬のことをそんな風に言う飼い主さんは少なくありません。日本の文化が、謙遜することを良しとする傾向があるので、例えば、ご主人が奥さんを「愚妻」などという場合、西洋人はとても驚きます。

 もちろん、日本人なら、本当にそう思っていない(思っている場合もあるかもしれませんが(汗))ということはわかるのですが、聞いていて気持ちがいいか、というと???です。どう相槌をうっていいのかも微妙です。ニコニコしているしかない。

 本当に「わがまま」だと思っている場合、レッスンで私は飼い主さんに「具体的にはどういうことですか?どのような行動からそう感じるのですか?」と聞きます。 するといろんな答えが返ってきます。それについて、私の考えを書いてみようと思います。 


叱っているのに反抗的な態度をする


 

反抗的な態度とは、というのも、これまた具体的な行動は見えてきません。さらに具体的に何をするのか聞くと、例えば ”いたずら”をしたので叱ると吠えたり、唸って文句を言う、のだそうです。この”いたずら”という言葉も曲者です。私は”作業”だと思っています。

 犬たちは、悪戯、悪い戯れだとはこれっぽっちも思っていません。いいえ、うちの犬は悪いことをした、とわかっています。と思っている方もいらっしゃるかと思いますが、悪いことをした、と理解しているのではなく、これをやっているときに飼い主に見つかると、どういうことになるという学習をしていると考えるのが、行動学的視点からは正しいかと思います。

 しかも、そういう態度をする、ということはその作業を見つけたときに飼い主さんに現れる様子を心地よく感じていない場合に限ります心地よく感じている場合には、あるいは、なんとも感じてない場合には、違う態度になるかと思います。

 叱られると吠えたり、唸ったりするのは、何かの感情を訴えているだけで、反抗しているとは、飼い主側の受け取り方の問題かと思います。飼い主さんが、「こうしてほしい」と思っている行動と同じ行動ではない行動をする、ということなのではないでしょうか?


散歩のとき飼い主が行く方へ来ようとしない


 これもわがままというよりは、ただ、そちらへ行きたくない、というメッセージだと考えるのが良いのではないでしょうか?大事なのは、犬がそういう行動をとったときに、飼い主がどう対応しているか、です。飼い主もゆずらず、飼い主が行きたい方へしか行かない、という態度を貫くのであれば、犬は、自分が行きたい方へは行かれない、と学習して、行かれる方向へ行くようになるでしょう。

 それしか選択肢がないのであればです。ところが、飼い主がゆずって、愛犬が行きたい方へ行ってやったりすることがあれば、行きたい方へ「行きたい」とメッセージを送れば行かれる、と学習します。

 今日は時間があるから行ってあげようとか、今日はそっちへ行ってあげてもいい気分だからいく、などとやっていると、犬は「行きたい」というメッセージを送る、というトライをしてくるでしょう。

 私は、それこそがその日の飼い主と愛犬の会話だと思うので、こうでなければならない、と四角四面に考えるのではなく、今日はこんな気分で一緒に歩こう!とか、そんな会話が愛犬とできたら素敵だな、と思うのです。

 しかしその場合、必要なのは行かれるときとそうでないときの共通の約束を、お互い理解できるようにしておく、ということかと思います。「行こう!」という言葉をかけるとか、「(今日は)行かない!」という言葉をかけるとかです。「行こう」と「行かない」は音が似ていますが、ニュアンスは変わるかと思いますので、犬は理解できると思いますが、もう少し違う音「(今日は)ダメだよ」とか、「NO!」とか、いつも同じ言葉で、その言葉が聞こえたときは「行かれる」とか「行かれない」とか、愛犬にちゃんと伝わる関係を作っておく必要があります。

 いつでもビシッと必ずついてくる、ではお互い楽しむ “お散歩” という感じはしません。飼い主の欲望において、愛犬にこうしてほしい、こうすべき!となってしまうと、お互い楽しくないと思うのです。

 愛犬の行動をみながら、あー、こんなことがしたいんだな、今臭いを嗅ぎながらいろいろ情報を取っているんだな、とか、考えるのも楽しいことかと思います。 まさかそこには、どちらがリーダーになるか、などという争いが存在しているとは思えません。そこに存在しているのは、「行きたい」「行きたくない」「行けるか?」「行けないか?」それを探り合うゲームです。そしてゲームに勝ったら上になるとか、下になるとかではなく、単なる結果で、行かれた、行かれなかった、ということだけです。

 ある飼い主さんのケースで、あまりにもこちらの言うことを聞かせようとしたら、歩かなくなり、それから散歩にいきたがらなくなってしまった、ということがありました。楽しくなかったら、当たり前ですね。飼い主さんに反抗しているのでもなんでもなく、楽しくないから行きたくない、というとてもシンプルな理由です。


飼い主の物を盗む


 盗む!?(笑)「自分のおもちゃがあるのに、私のかばんからハンカチやペンなどを持っていくので困っています」という飼い主さんもいらっしゃいます。アトラスが子犬のころ、私もよくやられました。ハンカチを取られたのを知らず、出先で汗を拭こうと思ったらハンカチがない!と困ることもしばしば。

 出がけに確認すればよいのですが、そういうのはどうもうっかりしてしまうのです。もちろんそれは、私の落ち度です。ペンを取られてかじられた、ということもありました。少々高いペンでしたので使い続けていたら、レッスンのときに飼い主さんに笑われました。しかし、それはとても愛のある笑だったのです。それからそのペンが愛おしくなり、しばらく持ち歩いていました。

 そんな私からできるアドバイスがあるとすれば、ハンカチやペンを取られたくないのなら、かばんを彼らが届くところに置かないことです。ということです。

 こういうケースでよくあるのが、かばんから何かを盗んで(※ひどい表現です!かれらは『盗んで』いるつもりはありません!)飼い主さんの見えるところで噛む、ということです。よく考えてみましょう。飼い主さんの見えるところで・・・そう、愛犬は、飼い主さんがどう反応するかを知っています。知っていて、その行動を引き出す天才と言えるでしょう。飼い主さんはそれを発見して「ハッ」として、あわてて取り返しにいくでしょう。もし犬が逃げたら、追いかけっこが始まるのです。それはそれは楽しそう

 たまに返してもらおうとすると、所有を主張して唸る犬がいますが、それをすぐに「所有性攻撃」とするのは早とちりすぎます。もっと全体的に愛犬との関係を見直す作業が必要ですが、とりあえずそうなってしまったら、すごく美味しい、とっておきの食べ物と交換することを学習させましょう。寛大な配慮ができる飼い主です!

 もっともそれをやると、犬は学習をする動物ですので、かばんの中のものを取れば、美味しい物と交換してもらえる!とすぐに学習しますので、取られたくない物が入っているかばんを、彼らが届くところに置かないようにすることが必要です。しかし、人間がこれを学習するほうが、どうやら何倍も難しいようです。


ハンストする


 これは最初意味がわからなかったのですが、どうやら、お腹が空いているはずなのに、飼い主が与えたドッグフードを食べない、ということだそうです。ドッグフードを食べない場合には、便の状態や、元気はあるか、いつもの行動をするか、観察することが必要です。少しでも具合が悪い様子があるならば、病院に連れて行きましょう。

 でも、そうではなく、ドッグフードを食べない場合には、もしかして他の何か、おやつなどを欲しがっているのかもしれません。食べないと困るから、と特別なものを与えてしまうと、そういう行動を学習する場合もありますが、健康に問題がなければ、食べないならなにもあげない、ということで徹底すれば、食べるようになります。

 犬たちは、ただ、もっといいものが出てくるかもしれない、と学習しただけで、わがままではなく、そう学習した、と理解するのが正しいと、私は思います。

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