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おかしな『犬のしつけ』???Vol.6


リーダー(飼い主)がテリトリーを支配しなければならない


◎ただ”入れない部屋”と理解するだけ

犬が入れない部屋をつくる?

 「犬が入れない部屋を一つ作ってください」シドニーのマニュアルにそうあったので、Doggy Labo を立ち上げてからしばらくは、私も飼い主さんにそう言っていました。しかし、告白いたしますが、当時住んでいた私の部屋は、2DKでしたので、犬が入れない部屋を作れるわけがなく、一緒に同じテリトリーで暮らしていました。だからドアホンに吠えたのか?といったら、今ではそこになんの因果関係もないということがわかります。

オオカミの群は家族だった

 そもそも、犬のしつけはオオカミの習性を元に作られていて、オオカミには階級があり、リーダーがテリトリーを支配していて、犬もその習性が残っているので、リーダーである飼い主はテリトリーを支配しなくてはならない、という理屈があるようですが、1970年代にマッキンリー山(現デナリ山)のオオカミの群を観察した研究では、オオカミは家族だった、とあり、最近、2015年に発売された「Beyond Words」CARL SAFINAにも、イエローストーン国立公園のオオカミの群を観察した研究でも、オオカミの群は家族だった、とあります。

 家族ですから、お父さん、お母さんオオカミは、子オオカミたちを守ります。守るために、危険なところへ行かないように、遠く離れすぎないように、子オオカミたちを教育します。この行動は、我が家のアクセルが子犬たちを教育する場面でも見られました。詳細は「犬の行動学」エーベルハルト・トルムラー著を参照ください。

広大すぎて支配無理!?

 しかし、そもそも、マッキンリー山にしても、イエローストーン国立公園にしても、テリトリーっていったいどのくらいの広さなんでしょう???群れがいくつかある場合には、各群におけるテリトリーの境界はあります。オオカミは群のテリトリー内でマーキングをしますが、他の群との境界には、ことさら念入りにマーキングをします。群を越えて同種同士の争いを防ぐためです。その念入りのマーキングを確実にするために、いつものマーキングはオシッコだけですが、この境界には糞もするそうです。糞から立ち上る臭いは、強い境界線をアピールすることになるのだそうです。

 群のテリトリー内で、リーダーであるお父さんオオカミが、ここは俺しか入れない!とかやっているように思えないのです。サイズ的に想像がつきません。ちっこい話で、社長室には気軽に入れない、などという場面を想像してみたりもしますが、今どきの優秀なリーダーは風通しがよい?ということがモットーになるのでは?と思います。ならば、気軽に入れない社長室はありえないです。優秀な企業のデスクレイアウトなども、社員を向き合わせて座らせ、すべてに目が届く端に上司が座るという日本式島型レイアウトは、生産性が悪いとされています。私は、自然に生息する野生オオカミの群のリーダーは決して、あの広大なテリトリーを支配している、とは思えないのです。

ただの好奇心

 実際、少し広くなった我が家は現在、広めの2LDKになりましたが、犬たちが行かれない部屋はありませんでした。ただ、クロノスがてんかん発作を起こすようになり、そのあとトイレの学習が乱れたことがあり、倉庫にしている部屋や、脱衣所にマーキングをするようになり、見ていられないときはそちらへは行かれないように柵をすることにしました。しかしそれも、最近になってまずアトラスが飛び越せるようになり、それを見ていたクロノスも学習して飛び越せるようになり、柵をしていても私は脱衣所で何かをしていると、ピョンと飛んでくるようになりました。でも、だからといってアトラスやクロノスが急に支配的になるはずもなく、その様子を見ていると、ただ私が何をしているのか、好奇心でついてくる、久しぶりに訪れた場所の臭いを嗅いで楽しんでいる、そんなふうにしか見えません。

 もっとも、キッチンは危ないから、とか、和室は汚されたくない(畳を掘ったり、オシッコが畳に染み込むことはあまり嬉しいことではありませんね)とか、そうした理由がある場合には、入れない部屋を作るのもよいと思います。でも、だからといって飼い主をリーダーと見る、上に見る、自分が下だと思う、などと考えないようにしたいものです。人と犬との関係は、そんな簡単に作れるものではないと、私は思っています。

本当に家を守っている?

 レッスンでうかがったとき、部屋の中に入るとものすごい勢いで吠えかかってくる犬がいます。その姿を見ているて、どうしても「テリトリーを守っている」とは思えないのです。ただ怖がっているしか見えません。レッスンですから、しばらく家の中にいることになるのですが、吠え立てて追い出そうとされたことはありません。私が近づいてこないか必死で見張っている、という感じです。静かに座って話をしていると、「そんなに警戒するほどの相手ではないな」と思うと、そうっとテーブルの下から臭いを嗅ぎにくる子もいます。中には、おやつをあげたら警戒心を払うことができて、「もっとくれ!」と私に近づいてきて、膝に手をかけることができるようになる子もいます。もちろん、最後まで怖がって触れずレッスンを終わることも少なくありません。そうした姿を見ていて、テリトリーを守っているとはどうしても思えないのです。

散歩中の犬に向かって吠える

 散歩をしていて、自分の家の前を通る犬に吠えかかる子がいますが、一見テリトリーを守っているように見えないこともないですが、どうも儀式的?形式的?なものに思えるのです。実際、そこからは誰も入ってこないことは学習しているはずなのに(扉のない柵や塀に囲まれている場合)追い払う?必要があるのでしょうか?そんなに頭の悪い動物ではないと思うので、はやりどこか形式的にやっているような気がするのです。FBで見かけた動画でおもしろいものがりました。柵越しに二頭の犬がガンガン吠えあっているのですが、柵がなくなると吠えるのをやめてしまい、また柵に戻って吠えあっている、というものでした。そうした動画をみても、やはり形式的なもの?と思えてなりません。つまり、そんな形式的なことで、リーダーというポジションを獲得することはありえないのでは?というのが私の考えです。

外飼い

 最近、都会では少なくなりましたが、外で飼うという場合、犬という習性を考えたらとても群としてはとても不自然で可愛そうなことなのかもしれないと感じます。そばにいたい、そう思っているはずだと思うのです。家の中に入れないから犬は自分が下だと思い服従する、という説もあるようですが、外で飼っている犬で、言うことを聞かず、噛む子もたくさんいます。それだけで飼い主との主従関係を築くことなんてできないと思います。ましてや、一緒にいない時間の長さを考えると、信頼関係も築きにくいのでは?と思います。テリトリーを支配する必要はありません。ただ、危険な環境は改善し、犬たちを守る責任が、飼い主としてあることは間違いありません。

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